もともとは牛小屋だった古民家の離れ。
それを居心地のいい部屋にされたい、という依頼をいただきました。三次市糸井町という、とてもおだやかな土地にふさわしい、居心地の良さとはなんだろう?と考えながら、設計してみました。
こうした時はついつい、景色の良さに気がとられてしまいますが、外に出てしまえば常に見ることができるのですから、あえてどの部屋でも、というわけでもなかったりします。
書斎として、心ゆくまで本を読んだり、ちょっとコーヒーを飲んだり、ごろごろしたり(笑)、そんなことを楽しめる部屋にするなら、ちょっと閉じた空間にして、プライバシーを確保しながら、やりたいことに集中できるようにしたいと思いました。
もちろん、居心地の良さを担保するために、羊毛断熱材を壁と天井にいれて暖かさと、壁の中に湿気がたまらないようにしています。
仕上げは珪藻土の塗り壁です。天井も珪藻土を塗りました。
天井を塗るのはもちろんしんどい作業になるのですが、珪藻土を塗る面積が広ければ快適空間になるのがわかってるから、左官さんもがんばって塗ってくれます。
床材は木の床です。純粋無垢の木のフローリング。積層合板フローリングではないので、蜜蠟ワックスを塗りながら、愛でるように育てていく木の床です。
蜜蝋ワックスを塗らなくても十分に気持ちいいのですが、さらに上質を求めるなら、お手間とらせますが、塗ったらいいです。
そのひと手間に応えることができるのも、純粋無垢の木の床です。
床下は超高性能断熱材を入れて、隙間も気密テープで止めています。
高額な古民家リノベーションをやってみても、なんだか思ったほど快適にならないのは、隙間を減らせないからです。
それを解決するために、新築でもあまり使われない超高性能断熱材のフェノールフォームを入れています。普通のグラスウールの2倍以上、アクアフォームとかの吹き付けウレタン発泡に比べても1.5倍の断熱性能です。
さらに、その力を余すことなく出し切ってもらいます。気密テープで隙間をなくして、床については気密を確保しています。
もちろん、熱の3分の1が逃げてしまう窓についても、アルゴンガス封入の断熱Low-Eペアガラスを使った、アルミ樹脂複合断熱気密サッシにしています。
とまぁ、マニアックな話を書いてしまいましたが、要するに、お客様がこうしたいなぁ、と思われたことをよくよく汲みとりながら受け止めて、あとは私らにお任せください。そしたら最適解で設計して施工しています。デザイン的にも、そんなに悪くないでしょ?