こんにちは! 藤川正宗です。
いつもはお客様へ向けてのメッセージを書いているこのブログですが、今回はちょっと大変な事態になるんじゃないかと心配して、工務店さんにむけてのあれこれをまとめさせていただきました。どうぞ参考になさってください。じつは、弊社の本部が医療法人ということもあって、複合的に相談をされることが増えています。個別の対応はもちろん必要ですが、共通して参考になることを書かせていただきました。
今回の問題は、住設機器や建材の納期がいつになるかまったく未定だということです。
なので、まずはすぐにお客様にお知らせすることが大切です。
そして同時に、工期の期限を定めない契約に変更する合意書を取り交わすことです。
同様の先例として、東日本大震災の時にサプライチェーンが崩壊しました。この時も、納期がまったく未定でしたので、工期を「期限の定めのない」契約に変更する合意書が使われています。その時のひな形をご紹介しますので、参考になさってください。
ちなみに、今回の新型コロナウイルスの影響による事態は、一般的な工事契約書に記載されている「不可抗力」にあたります。工務店に「責めに帰すべき事由」はなく、遅延損害金の負担の必要はありません。
合意書ひな形のイメージ
完成間近の建物(3月末までに完成させ引き渡しをする約束となっている建物もたくさんありますよね)では、検査済証を出せるんだろうか? という心配について。
完了検査をしないと、引き渡しができないので住宅ローンも実行されず、つなぎ融資は伸びて金利もかさむ、引っ越しできないから仮住まいも伸びる、3月末に終わらせないと補助金が、、、など直接的に金銭にからむ問題も発生してきます。
国土交通省の今回の新型コロナウイルスの影響への対応として、建材・住設の供給不備によりトイレ・システムキッチン・ユニットバス等が未設置であった場合でも、完了検査が実施されることになりました。「軽微な変更」に該当するか否かで対応が異なり、該当しない場合は「計画変更」となります。詳しくは各特定行政庁及び指定確認検査機関へお問い合わせください。
さらに、一部製品未設置で完了検査を実施した場合でも、建設住宅性能表示の個別対応が行われます。
中小企業・小規模事業者への支援策として、資金繰りをはじめとした経営相談窓口の開設や、政策金融公庫のセーフティネット貸付要件の緩和施策が行われます。
お近くの相談窓口にお問い合わせください。これから加速度的に相談件数が増えるでしょうから、お早めに。公庫の中の人は、おとといの時点でも、飲食店向けの施策が先に大きく発表されたので、かなり込み合ってると言ってました。
▼日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付の要件緩和▼
☞ https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200214012/20200214012-1.pdf https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200214012/20200214012.html
▼全国相談窓口一覧▼
☞ https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200214012/20200214012-1.pdf
小中高が突然に臨時休校になったことから、その年齢のお子さんを持つ従業員やパートさんに働いてもらっている工務店も多いはず。お子さんを預けることができなければ出勤もままならず、かといって会社の仕事が回らない、本人には収入がなくなるのも困ります。設計、コーディネート、会議、積算については出勤しなくてもできるはずです。リモートワーク、テレワークです。
では、実際にはどうしたらいいの?? となりますよね。なにごとも、習うならトップクラスの先駆者に、ということでみつけてきました、先駆者。世界にはすごい会社があります。GitLabというベンチャー企業で、世界中に1,000人以上の社員が点在して、全員がリモートワーク(テレワーク)してます。そして、そのノウハウをなんでもオープンにしてる会社です。
リモートワーク(テレワーク)をしてても、いかに効率良く働くかという視点でマニュアルを充実させています。
英語なので、読めなくてもいいので、ちょっとだけでも眺めてください。その充実ブリがわかると思います。これくらいの文量があれば、1,000人の多様な能力を仕事に集中させることができるのです。もちろん、小規模な会社であれば、これまで働いてきたあうんの呼吸もありますから、もっと小さなマニュアルでも運用できます。
では、ポイントを解説していきます。
コミュニケーションツールはSlack(ライングループみたいなものです)
運用ルールとして、
・90日しか記録を残さない
・個人間ではやり取りしないでパブリックチャンネルに
・あいさつ不要
・別に、家族の写真をUPするチャンネルを用意
・どこで聞いたらわからないときの「なんでも質問チャンネル」を用意
・仲間に感謝を伝える「ありがとうチャンネル」を用意
・Slackが落ちたらZoom、ハングアウトチャット、と次のツールを用意
ビデオ会議のルール
・時間通りに開始して待たない。時間が来たら、ぶつ切り。
・ビデオは常にオープン。準備やマイクテストを省く。
・積極的に子供やペットが映るようにして、雑談を促進させる
・「みなさん聞こえる?」は不要。すぐ本題。聞こえないときに連絡。
・マイクは基本ミュートで、話す時にON。
マニュアルは常時更新することが大切ですが、実際には難しいのが現実です。超人的な人が管理更新するか、Gitリポジトリという分散バージョン管理システムを使うことでしか解決できません。だれでも更新の提案をして、その上司が承認して、オープンな場でもディスカッションできます。
マニュアル第一主義とする。これがうまくいかないのは、マニュアルが形骸化されてしまうから。だからこその継続的な更新。べつに資料を造るのではなく、マニュアルを追記、更新していくことで、常に「引用」で説明をする。
ビデオ会議をしていて、画像については高画質にしなくてもそんなに気になりません。ですからカメラは4Kにしないと、みたいなことはありません。パワポを映すとか、PC画面の共有などはきれいに出力されるので、ノートパソコンのインカメラでも、タブレットのインカメラでも、結構に充分です。
しかし、音質はこだわったほうがいいです。
途切れたり、割れたりすると、かなりストレスになります。ハンズオンスピーカーにしてハウリングとかすると最悪です。
ですから、音声についてはヘッドセットを使いましょう。それなりのメーカー(エレコムやロジクールとか)ならどこでもいいんですが、オススメはSennheiser(ゼンハイザー)というメーカーの PC8 とか、SC165。このメーカーは音質が良くて、リーズナブル。ノイズキャンセル機能がついてると、会議の声に集中しやすいです。
コミュニケーションツールやビデオ会議のツールについては、それこそ星の数ほどあるので、お好きなもの、お付き合いのあるものを使用すればいいのですが、その基本理念や基本ルールについては、王道があります。それを守って運用し、効率的で生産的なお仕事をしていきましょう。
みなさんが次代に生き残る工務店となり、日本の住宅が良質になっていくことを願ってやみません。