この写真は、築25年くらいの住宅の、床下での現調、現場調査をさせていただいた際の写真です。床下断熱材はグラスウールが使われています。当たり前ですが、湿気を含んで重くなったのか、動物が引っ張ったのか、あちこちで垂れ下がっています。もちろん、すき間だらけです。
こういう施工が当たり前のように行われ、いまでも、同じ感覚でお仕事されている職人さんは、たくさんいらっしゃいます。
この状態で、断熱がとれるかどうか、素人でも分かりそうなものですが、こういう悲しい現実もあります。断熱材を入れるなら、すき間なく、というのが基本です。
さて、それよりなにより、床下をどこまででもほふく前進できるからすごいでしょ、とか、システムバス(ユニットバスともいいます)が1坪サイズじゃなくて、0.75坪という、なんでこんなに小さい設計にしたんでしょう?という疑問でもなく、耐震補強工事についてなんです。
実際の写真なんで、よくわからないとは思いますが、中央の横たわってる木(土台)の手前に、左側にタテの金属っぽいものが見えるでしょうか? これはアンカーといって、コンクリートの基礎からニョキッと出て、横たわる木(土台)の中心を突き抜けて、しっかりとボルトで締めつけるものなんです。それが、土台の中心をズレてるばかりか、ちょっとかすってる程度で、申し訳程度に締めつけています。これでは、本来の働きをしていません。
大きな地震がなくて、他の金物があったおかげで、そんなに大事にはならずに済んだんでしょうが、これはダメです。
ちょっとしたミスをしてしまうことが誰でもあります。でも、面倒だからと放ったらかしにしてしまうのはよくありません。建設途中であれば、なんとか修正することはできる問題なんです。上に全部建ってしまってからでは、ほぼどうすることもできなくなってしまいます。
工程ごとにチェックする第三者検査機関の目がないからと、どうしてもそうなってしまいます。どんなに信頼していても、それを担保してくれるものは必要です。第三者検査機関への信用というものもありキリがないのですが、別会社を立ててる時点で、ある程度の抑止力がありますし、あえてお金を払ってまでそうしてるという心意気を評価したいと思いますし、みなさんもそうしていただければと思います。
基礎の立ち上がりがどうなっているのかを調べるために、今回は床下に入ったんですが、たまたまこんな欠陥をみつけてしまいました。急きょ、家全体の立ち上がり基礎がどういう配置になっているのかも調べて、すぐ図面にして、構造計算的にどうなのかを見てみました。幸いなことに、最近の新築住宅のように、必要最低限というのではなく、どちらかというとそんなに構造計算していなかったからこそ、余分目に、むしろ過剰なほどのコンクリート基礎になっていました。とはいえ、中に金属を入れる配筋具合までは分からないので、そこは不明ですが、それでも、これならなんとかなるだろうな、という状況でした。
もしも、状況が悪いようなら、基礎コンクリートの立ち上げと、そこに横たわる土台という木をガッチリ締めつける必要があります。いまはそういう建材もありますので、ちょっとお金はかかりますが使わせていただきます。
さらに、コンクリートにヒビが入っている場合は、2液性のエポキシ樹脂接着剤をすき間に打ち込む補修をします。これもそれなりの金額がしますが、やらせていただきます。
今回については、他の要件で床下に入ってみつけてしまいながらも、幸いなことにそこまではする必要もなかったので、ひと安心ですが、こうしたことも視野に入れながら、普段からしっかりとお仕事しないといけないな、と思いました。